私教育再生 すべての大人にできること

部活動、いじめ、受験勉強。
どこまでが学校の責任か。

家庭・塾・地域に光をあてる、教育バランス改革論!
日大アメフト部の問題、教員の過重労働問題といった時事的なトピックとともに、公教育と私教育のちがい、歴史的な教育の役割の変遷、法律のなかでの学校の位置づけなど、現状の日本教育の問題点を総ざらい。
学校の枠を飛び越えて、「教育」のあるべき姿を捉え直します。
「教育とは自立を促すことである」という教育本来の目的を見つめ続けた著者が書く、思い込みをなくし、子どものための教育を一から、自分で考え直すための教科書。

本書で取り上げられる問題例
・いじめはなぜ、いつから、どのくらい、教師の責任になっているのか。
・部活動は学校教育に入れるべきか?
・私教育が成り立たなくなっているのはなぜか?
・私教育vs公教育! 私教育はどのような役割を果たしていて、公教育に吸収されると、どのような問題が起きるのか?

・「子どもが自立する教育」のためにはどのような仕組みが必要か?


本書では、公教育と私教育の区別をしたうえで、教育の議論が公教育にばかり偏っていて、私教育への関心が希薄となり、結果としてその両方がほとんど機能不全に陥っている状況を論じて、読者のみなさんに今後どうしたらよいのかについて、本気で考えていただこうと思っている。
(「序章」より)

❖目次
序章 「教育」とは何か 「一人立ち=自立」を忘れた教育の横行

第一章 過剰に期待される「公教育」
 一 「いじめ」の責任はすべて学校がとる?
 二 モンスター・ペアレントとユーザー主義
 三 教師と「部活動」
 四 高校の進学予備校化・大学の就職予備校化

第二章 崩されてきた「私教育」
 一 「私教育」と「教育のビジネス化=私事化」との違い
 二 松下村塾は「私塾」であった!
 三 家庭教育の今と昔
 四 「塾・フリースクールや予備校」は社会の改革より補完に

第三章 日本教育五〇年の変遷
 一 公教育と私教育の歴史的関係  
 二 「サービスとしての教育」観の誤り
 三 文部科学省・地方教育委員会の「質」に左右される公教育
 四 「学校化する社会」の行き着く先は?

第四章 「大きな教育」の中の「小さな学校」  私教育の復権をめざして
 一  「学校」は「学力形成」を主、「人格形成」を副に
 二 「個の確立・個性的自立」をめざすカリキュラムづくり
 三 「学校知」の重要性とその限界 
 四 理論知の独自性とその価値 
 五 愛国心教育と外国人子弟・留学生の教育 

あとがき



安彦 忠彦(あびこ・ただひこ)
専門はカリキュラム学・教育課程論を中心に、教育方法、教育評価。著書に『よくわかる教育学原論』(共編著、ミネルヴァ書房)、『「コンピテンシー・ベース」を超える授業づくり』 (図書文化社)、『最新教育原理』(編著、勁草書房)、『「教育」の常識・非常識─公教育と私教育をめぐって』(学文社)、『新版カリキュラム研究入門』(編著、勁草書房)など。

1942年 東京都生まれ
64年 東京大学教育学部学校教育学科卒業
68年 同大学大学院教育学研究科博士課程中退、大阪大学文学部教育学科助手
71年 愛知教育大学教育学部 専任講師
80年 名古屋大学教育学部教育学科 助教授
88年 同大学 教授。その後、同附属中・高校長、教育学部長を併任
2002年 早稲田大学教育学部特任教授
  現在 名古屋大学名誉教授、神奈川大学特別招聘教授

販売価格
1,815円(税165円)
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