句集 呼応

群青世界セーターを頭の抜くるまで
第55回角川俳句賞受賞の著者、待望の第一句集。
卓越した観察力と技巧で、世界をすみずみまで描き出す326句。

どうしても俳句でなければ、ということでもなかったのが、おもしろい。この時、俳句を選んでいなければ、俳人相子智恵は生まれていなかったかもしれないのだ—序・小澤實



〈収録句より〉
火星にも水や蚕の糸吐く夜

畦焼きぬ焼けざる草の突つ立ちぬ

ゴールポスト遠く向きあふ桜かな

桜餅指に蹼ありしころ

一滴の我一瀑を落ちにけり

日盛や梯子貼りつくガスタンク

砂払ふ浮輪の中の鈴の音

北斎漫画ぽろぽろ人のこぼるる秋

とことはに後ろに進む踊かな

遠火事や玻璃にひとすぢ鳥の糞

雪雲の日裏ずんずん進みくる

にはとりのまぶた下よりとぢて冬



❖目次

序      小澤實

工場     一九九七―一九九九年
まゐつた   二〇〇〇・二〇〇一年
三面     二〇〇二・二〇〇三年
蔦の家    二〇〇四・二〇〇五年
一滴の我   二〇〇六・二〇〇七年
半透明    二〇〇八・二〇〇九年
蹼      二〇一〇・二〇一一年
とことは   二〇一二―二〇一四年

あとがき


相子智恵(あいこ・ちえ)
一九七六年 長野県飯田市生まれ
一九九五年 小澤實に師事
二〇〇〇年 「澤」創刊に参加
二〇〇三年 澤新人賞受賞
二〇〇五年 澤特別作品賞受賞
二〇〇九年 第五五回角川俳句賞受賞
共著に『セレクション俳人 プラス 新撰21』(邑書林)『虚子に学ぶ俳句365日』『子規に学ぶ俳句365日』(草思社)『俳コレ』(邑書林)『新興俳句アンソロジー 何が新しかったのか』(ふらんす堂)
「澤」同人、俳人協会会員。
販売価格
1,980円(税180円)
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