私は日本狼アレルギーかもしれないがもう分からない

この歌集には、普通の人にはまず思いつかないような奇想が充ちている。
怖いからスルーしたい。でも、できない。怖いくせに、いや、怖いからこそ、立ち止まって正体を知りたくなる。その奥にとても大切なものが隠されているように感じるのだ。――穂村弘

奇想に充ちた短歌で「日経歌壇(穂村弘 選)」に100首以上掲載、年間の秀歌にも多数選出のスター歌人として知られる田中有芽子。2019年に刊行し話題を呼んだオンデマンド歌集に、新作「りからん」を加えた新装版。穂村弘による解説も収録。



〈収録短歌より〉

ガラス越し新生児らの歳を足すみんな合わせて56日

ぎっしりとセミの抜け殻詰め込んだ軽いトランク持って野を行く

奇数本入りのパックが並んでる鳥手羽先の奇数奇数奇数

「共用スペースでは必ず犬を抱くこと」買いに行かなきゃ、犬を。

あのアゲハ小さい頃から何回もおんなじやつに会ってるのかも

100年に一言喋る力持つテディ・ベアそっと抱けば「暑イ」と

すれ違い多き夫よ何回も帰ってくるが行くのを見ない

海と陸出会うはずない命たち一皿に盛ってシーフードサラダ

君たちは名誉レッサーパンダだよ雨の日の午後通知が届く

お母さんはあんたよりもっと殺してる巣に水を入れたりもした
販売価格
1,980円(税180円)
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