沼の夢

この歌集には、奇跡の時間が乱暴に折り畳まれている。ゲキツウ。
――渡辺祐真/スケザネ(書評家)

第一歌集『世界で一番すばらしい俺』で衝撃的なデビューを果たした著者、待望の第二歌集。唯一無二のユーモアをたずさえて、過去と現在、そして夢の中の「オレ」をめぐる322首。



〈収録短歌より〉

十一月四日にリリー・フランキー、NOKKO、名倉潤、オレが生まれた



捨て場所を探して歩くビニールのゴミを握ればオレの温度だ



ウインカーつけて曲がってゆく車 しずかな夜を眠れずにいる



子供にはちょうど良さげな枝だなあ 構えてもよしつついてもグー



あたたかくなってくるのはありがたい母がなにかをゴシゴシしてる



なぜならば面倒くさいことを避けラクをしようとしてたからです



工藤にも生きる権利があるという噓みたいだがほんとの話



カーテンに隙間があって景色には足りず表情にはまだ遠い



引き抜いた白髪まとめて捨てるとき羽根を捨ててるみたいだったな



スーツ着たままデタラメに歩いたらオレしかいない草原に雲

販売価格
1,980円(税180円)
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