芭(塔(把(波

金子光晴の気配を追ってジョホール水道を越え、マラッカ、そしてバトパハへ。文字がたわむれているかのようなふしぎなリズム。東南アジアの土けむりの向こう側にある人間の気配ー。野村喜和夫の最新紀行詩集。



婆( 塔( 把( 波
馬( 塔( 把( 葉
なんだろうこの( 誘うような( 導くような
私たちの足音そのもののような
波に塔が
捉えられて老婆のように歩むのか
葉から馬の首が出て塔のように伸びるのかそれとも
塔なんてない干上がったヘドロ
のような老婆の皮膚がつづいているだけ
なのか卒塔婆のそよぎ
外の場の盛り上がり
(本文より)


野村喜和夫(のむら・きわお)
1951生まれ、戦後世代を代表する詩人のひとり。2012年第50回藤村記念歴程賞など受賞、多数の詩作品・小説・批評・翻訳がある。
型番 978-4-903500-57-7
販売価格
2,090円(税190円)
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