路地に咲く花

年なれば外に働く要なきも不安はありて求人欄みる 子と二人映画に行けばいつしか立場変りて券買いくれぬ 二人居に慣れし今宵を老夫は親のつとめの終りしをいう 貧しかりし幼き日持つ二人にて遠き痛みを語るイブの夜 会い会うは句読点に似て明日よりまたそれぞれのひたすらな道 基地の町・立川に起居しながら、つむがれた504首。 よみがえる昭和の記憶。


「作者は、折に触れて思い出す。まるで自分を励ますように歌う。
読み手はそこに感動する。じーんとくるのである。……
短歌は、庶民がもちえた生きる手かがかりだったのではないか。
そのことの意味の大きさを歌集『路地に花咲く』はよくしめしている」
(小高賢・本書解説「ひたすらな道」より)



鈴木サダ子(すずき・さだこ)
1924年生まれ。50歳を過ぎて短歌をつくりはじめる。
型番 978-4-903500-23-2
販売価格
1,980円(税180円)
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