敗れし國の秋のはて

堀口大學の父、そして日本最初の外交官。 戦争と革命の世界史の表舞台から近代日本の運命を見届けた男、忘れられた日本人の初の本格評伝。 明治という新しい国家の制度のなかで、学力だけで外交官となり故郷長岡の地から、アジア、ヨーロッパ、南米の各地に赴任。 ブラジルでは隣国アルゼンチンに出張し、ロシアに先駆けて軍艦二隻を買い付け。その二隻は日露戦争で「日進」「春日」と命名され、日本海会戦で活躍、日本は奇跡的な勝利を収めます。 メキシコ革命と遭遇し、マデロ大統領の悲劇の渦中に命を賭して飛び込みます。 当時珍しかった国際結婚をし、息子にフランス語を学ばせ……。 タイトルは息子大學による、奇しくも敗戦の年に亡くなった父親への挽歌です。


[目次]
序章 ある漢詩集
第一章 戊辰戦争の陰で
第二章 外交官への道
第三章 王城事変
第四章 沙市の領事
第五章 日露戦争の陰で
第六章 代理公使
第七章 悲劇の十日間 その一
第八章 悲劇の十日間 その二
第九章 スペイン
第十章 フランス文学三昧
第十一章 再びブラジルへ
第十二章 最後の赴任
第十三章 講演と執筆の日々
第十四章 晩年
終章 敗戦後の日々
あとがき
堀口九萬一略年譜
参考文献




柏倉康夫(かしわくら・やすお)
1939年東京生まれ。フランス文学者、放送大学名誉教授、元NHK解説主幹。著書に『私たちはメディアとどう向き合ってきたか』『生成するマラルメ』『アンリ・カルティエ=ブレッソン伝』など。
型番 978-4-903500-08-9
販売価格
1,980円(税180円)
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