工作舎物語

【東京堂書店週間ベストセラー6位】(11/27時点)1970年代、松岡正剛が率い、伝説として語り継がれる初期工作舎。全国から若者が集まり、不夜城の熱気をもち、多くの才能を輩出した。「パンの耳が常用食」「トイレで仮眠」など想像を超えるエピソードの数々を、松岡正剛、戸田ツトム、祖父江慎らが振り返る。編集とデザインの新時代を築きあげた創造の現場とは…!?


70年代の黎明に工作舎という編集宇宙を学ぶ。才能を集める才能とは!?
クリエイター列伝、屈指のノンフィクション!——成毛眞(書評サイトHONZ代表)


◉書店員さんから感想をいただきました!◉

初期工作舎の特異性は「分けない」というキーワードに集約されている。編集責任者をつとめ、キラ星のごとき才能を惹き付けた松岡正剛が提唱する「アルト・コンビナトリア」という編集概念。テキストを写真として扱ったデザイナーたち。編集部も営業部も区別のないコミューンのような活動形態。文字が情報として本や雑誌から引きはがされ安易に交換可能となった今、本書に登場する『全宇宙誌』や『人間人形時代』のように、テキストとビジュアルが混然となった物質としての書物の傑作群は、クールな過去ではなく、これからの出版物の未来を指し示す道標でもある。当時出版文化の突端にいた才能たちの群像劇として読んでも存分に楽しめるが、この混沌にこれからの本づくりへのヒントを読み取ってこそ本書を読む価値があるはずだ。
恵文社一乗寺店 堀部 篤史

初期工作舎は得体の知れない集団といったイメージだったが、その正体は、いってみれば巨大なエネルギーをもったマグマのカタマリだったのだ。『工作舎物語』を読むと、「遊」を刊行していた頃に生まれた「工作舎ライン」が、いまなおさまざまに広がり、一つの星座を作っていることがわかる。
ちくさ正文館 古田 一晴


◎もくじ◎
口絵

はじめに 例外的な熱気

第一章 松岡正剛 なにもかも分けない方法
東池袋の木造事務所/刊行前後/編集もデザインも営業もやる/エディトリアルの時代をつくる/サイマル・インターナショナルに対抗/アート系貧乏集団/杉浦康平の印刷指定/顔を合わせない戸田ツトムと羽良多平吉/四十までは寝るな/経済原理を超える

第二章 戸田ツトム 小さな声だからこそ遠くまで届く
桑沢「水浸し」事件/「なんだこりゃ」の目つき/カタログ・ブームの先駆け/カバー裏は別天地/DTPへの助走/カオスのスープだった/天井桟敷に尾行される/松田行正を真中にして

第三章 芦澤泰偉 遅いという文句は出ない
二十四時間フル稼業/だれもが皆やり続ける/松岡さんに殴られる寸前/デザインは身体性の産物
工藤強勝 報酬はタブーの世界
ミイラを見てこい/パルコ出版の請負
山口信博 間違えるのも能力
磯崎新事務所とラーメン/人間は間違えるすぐれた能力がある
松田行正 密度がとにかく濃い
いちばん下からやりたかった/工作舎グラフィズムの正当な継承者
羽良多平吉 最後までなじめなかった
どんなヤツか見てやれ/『HEAVEN』誌での活躍

第四章 森本常美 夢を見ていたよう
こんな雑誌が世の中に存在するんですね/日常が一挙に国際化した/バイト料月五千円/スタッフが全国に広まる/寝袋持参で工作舎に/異常なる記録魔・祖父江/松岡の組織づくり/部分と全体の強調/再度、清原悦志から

第五章 祖父江慎 おどろきしまくりの日々
明日にでも手伝いに来て/遅れると居場所がなくなる/デザインルームは実験室/家畜臭いぞ!/そうか、よし、解決だな/深夜、警察が調査に/多くの人が松岡ふうのヒゲを/戸田ツトムの野性的版下/「そふえ」か「そぶえ」かで相談/トイレで三時間寝る/耳の穴から写植文字/山崎春美と町田康/七五三みたいだなあ/紙を変えて四百部多く売れると思う?/「これはありえないよ」のデザイン

おわりに 創造のエンジン

工作舎物語事典
工作舎物語人名索引




臼田捷治(うすだ・しょうじ)
1943年生まれ。元『デザイン』(美術出版社)編集長。
現在、文字文化・グラフィックデザインの分野で執筆活動。女子美術大学非常勤講師。著書に『装幀時代』『装幀列伝』『杉浦康平のデザイン』などがある。
型番 978-4-86528-109-5
販売価格
2,420円(税220円)
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